こだわりが強く、苦手なものに対して過剰に反応したり癇癪を起こしたり…。
「うちの子、どうしてこんなに敏感なの?」
「なぜこんなことも我慢できないの?」
日々の子育てのなか、そんなふうに感じることはありませんか?
繊細な気質を持つ人をHSP(Highly Sensitive Person)といいますが「HSC」と呼ばれる「人一倍敏感な気質を持つ子ども」を育てているママならではのお悩みもあるでしょう
この記事では、HSCの子育てにストレスや疲れを感じているママが心をケアするコツや、つらい子育てが少しラクになる方法をお伝えします。
この記事はHSCのお子さんがいる、自身もHSPのママさんのご協力で書かせていただきました。
ぜひ、ヒントにしてくださいね。
「うちの子、敏感過ぎるかも」HSCの特徴
HSCとは
HSCとは病気や障害ではなく、生まれつきの特性。
Highly Sensitive Child(ハイリーセンシティブチャイルド)の略で、人一倍敏感かつ繊細な気質を持つ子どもを指します。
HSPのP(パーソン)がC(チャイルド)に変わっているのが分かりますね。
子供の15~20%(5人に1人)という割合なので、決して少ない数字ではありません。以下、簡単なチェックリストを用意しました。
各項目に対して、以下のように評価してください。
常に当てはまる:5点
頻繁に当てはまる:4点
時々当てはまる:3点
稀に当てはまる:2点
全く当てはまらない:1点
全てが常に当てはまる場合は80点で、HSCの気質が強め。合計点が高いほど、子供がHSCである可能性が高いです。
このチェックリストはあくまで目安。正式な診断には、必ず専門家の評価を受けてくださいね。
繊細ゆえに苦手なもの・ダメなものが多い
他の子にとってはなんてことのない出来事でも、HSCにとっては大きなストレスになることも…。
刺激を受ける、本人にとって苦手なことがあるとすぐに体調を崩す子もいます。ママからすれば「何でこんなことで?」と、とまどうことも多いです。
発達障害などと混同されることも
他の子に比べると行動がゆっくりのケースがあるため、発達障害と混同されやすいのも特徴の一つです。
HSCと発達障害の明確な違いは「相手の気持ちを理解できるかどうか」。
双方の違いと特徴を、以下の表にまとめました。
ただし、発達障害の子どもがHSCの気質を持っている場合もあります。療育や支援を検討している場合は、専門家の診断を受けてくださいね。
繊細なHSCっ子の子育てをラクにするために
「他の子と違う」を劣等感にしない
他の子よりも苦手なものや出来ないことが多く、ママにとっては「何で他の子と同じようにできないの?」「普通の子に育って欲しかった」と頭を抱える要因に。
だけど一見ネガティブに感じるHSCの気質は、大切に育てられるなかで長所になります。以下、HSCの代表的な長所を表にまとめました。
長所 | 特性 |
---|---|
高い共感力 | 他人の気持ちを理解し、思いやりのある接し方ができる |
創造力と想像力 | アートや音楽、文学などの芸術的な分野で才能を発揮することが多く、創造的な問題解決も高い |
深い思考力 | 物事を深く考える能力があり、状況や問題の多角的分析力、深い理解力がある |
鋭い観察力 | 細かいところに気づく能力に長け、周囲の変化や他人の微妙な表情や態度を敏感に察知する |
豊かな感受性 | 自然や芸術に対する感受性が豊かで、自然の美しさや音楽、絵画など美しいものに深く感動する能力がある |
優れたリスニングスキル | 優れたリスニングスキルを持ち、他人の話を注意深く聞くことができるため、信頼される相談相手となることが多い |
高い洞察力と 観察力 | 自分自身の内面と向き合う能力が高く、自己理解が深い他人の内面や動機を理解しようと努める |
例えば
敏感過ぎる → 物事の変化や特性によく気がつく
臆病でなかなか動かない → 物事を慎重に見極める判断力に優れている
など、ポジティブに変換していくことで、ママ自身も少しずつ前向きになれていきます。
例えば人の輪の中に入らない子も『一人遊びが上手』と言い方を変えるだけで全然印象が違いますよね!
「言葉は言霊」というのは本当です。できるだけポジティブな言葉を発してママ自身の脳に聞かせてあげると、自然と前向きな考えができるようになりますよ!
過ごしやすい環境を整える
HSCには感覚過敏の傾向があります。
服の素材や食べ物の食感、光や音などに注意を払い、できるだけストレスの少ない環境を提供することが大切です。
特にさまざまな子が入り乱れる集団生活を強いられる園や学校は、外的ストレスの宝庫。だからこそ、自宅は本人にとって一番落ち着ける場所にしてあげましょう。
ただし、すべての希望を通すとママが大変なので、できる限りで大丈夫!
成長とともに、HSCの気質なりに「自分で環境を整える能力」もついていきますからね!
以下の事例の通り、子どもはあっという間に成長します。
あるHSCママの事例
娘は運動会のピストルが苦手で、保育園の頃は耳をふさぎながら大泣き。小学校に上がってからも先生に事情を話し、ピストルのかわりにホイッスルに変えてもらっていました。
そんな娘も今や小学校4年生になり、運動会では「もう高学年だし、克服できそう」とのこと。
当日は今までの様子がウソのように、ピストルの音が平気になっていました。繊細な気質は変わりませんが、苦手なものも「気がついたら平気になっていた」というパターンはけっこうありますね。
将来を考えると不安なこともあると思いますが、必要以上に深刻に考えないこと。
本人の成長と可能性を、温かく見守ってあげてくださいね。
共感と理解のあるオープンなコミュニケーション
「そんなことで?」
「あ〜、癇癪がまた始まった…」
HSCの子育てはイライラするけれど、強く叱るのは逆効果。HSCはちょっと注意されただけでひどく落ち込んで自己肯定感が下がることも少なくありません。
まずはママの気持ちを落ち着かせるためにも、怒鳴りたい気持ちをぐっと抑えて「嫌だったね」「怖かったね」と、本人の気持ちを受け止めてあげてくださいね。
ただし、ママ側にある程度余裕がないと難しい!
「怒鳴ってしまった」「どうしてもイライラしてしまう」という場合も自分を責めないで、ママ自身の心をケアすることを考えてくださいね(詳細はこの後!)
ママ自身もHSPの場合、共感してあげられることも少なからずあるはず!「ママはわかってくれる」という安心感があると、子どもは少しずつ弱みを強みに変えて自分で歩き始めるので大丈夫です。
HSCの子育てに疲れたママのストレスケアは?
HSCのママは、通常の子育てよりも大変でストレスや疲労が溜まりやすいもの。ママもしっかりとストレスをケアし、リフレッシュする時間を持つようにしましょう。
ここでは、HSCママにぜひ知っておいてほしいストレスケアをご紹介します。
ママ友や当事者グループとの交流
同じタイプの子どもを持つママ友や、HSC気質の子どもを育てている親が集まる当事者グループに参加するのがおすすめです。
今ではオンラインで誰ともつながれます。
周囲に理解者が居なくとも、HSCの子育てならではのつらさやストレスを吐き出せる場があるだけで安心感が全く違うはずです。
家族に協力を求める
「私が頑張らなければ!」と、一人で抱え込んでいませんか?
家族(特に夫やパートナー)からの協力があるだけで、負担もぐんと軽減できます。「親が非HSPで、なおかつ理解がない」という状態は、子どものHSCの症状をこじらせるもと。
子育てが通常より大変なことを家族に伝え、無理に子どもを変えようとしないこと。
「この子はこういう気質なんだ」といったん受け入れた上で、子どもの未来を信じて前向きに自分たちの幸せを見つけていきましょう。
「あの時はいっぱい悩んだね」って、笑いながら振り返れる日がきっと来ますからね!
必要であれば支援制度を利用
HSCの気質が強く出てしまい「学校生活に適応できない」「日常生活に大きな支障をきたしている」という場合は自治体の相談窓口や学校に相談し、適切な支援制度を検討してみてもよいでしょう。
支援が必要なのは何も悪いことではなく、本人にとって最善の道を見出すためのきっかけになるものと捉えてください。
つらい時はママ自身がカウンセリングを
「頭では分かっていても、つらいものはつらい」
ママがそう感じるなら、絶対に無理をしないでください。悩むのはママが真剣に子どもと向き合い、頑張っている証拠。
子育ての経験はないけれど、HSPの人と何人もカウンセリングで向き合ってきた僕なら、きっと違う視点でのアドバイスができるはずです。
まとめ
HSCの子育ては正直大変。とにかくママが上手にストレスをケアすることが、親子の健康につながり一緒に成長していく秘訣だと思います。
悩んだ時は一人で抱え込まず、誰かに吐き出して受け止めてもらう、周りの手を借りるなどママの気持ちを大切にすること。
敏感な気質は成長とともに改善していくこともあるので、重く受け止めず前向きに子育てをしていってくださいね。
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